雲隠恋慕

消えたいくらい生きにくい毎日で生きたい理由を探す

アンジュルムは生きるドラマ

こんばんは。
鉛筆の芯はB派、あきらです。

 

今日紹介したいのはハロープロジェクトに所属している10人組アイドルグループ

ANGERME
f:id:kumogakurenbo:20180220163602j:image

スマイレージというグループならわかるよって方もいらっしゃるかもしれませんね。スマイレージが改名したのがアンジュルムです。
最近ちょっっっとずつですが人気も出てきている気がします。念願の海外公演おめでとう!!みんなのファッションがパリっぽくなってるのは気づいてた!!!

ここでは皆さんにこのグループの波乱万丈すぎる今までの云々かんぬんを知ってもらって興味を持って欲しくブログを書いている次第です。特定の推し*1について話してもいいけど皆人の不幸話とかドラマとかのが好きだろ。知ってる。

ただこのグループ、歴史長すぎてメンバー入れ替え含め説明がめっちゃ複雑です。だから最初に言っとくけどこのブログめっちゃ長いです。
さっそくインディーズ時代飛ばしちゃうけど許して。ぁまのじゃく福田花音が可愛いから見て。

 

まずはスマイレージ。レコ大最優秀新人賞をもらったこの曲をどうぞ。

 
スマイレージ 「夢見る 15歳」 (MV) - YouTube

 

えっ…少なくない…?
可愛い子を見つけた貴方、残念ながら3/4卒業してます。


初期メンバー
小川紗季前田憂佳和田彩花福田花音
f:id:kumogakurenbo:20180220164247j:image

皆が知ってるスマイレージは多分このメンバー。めっちゃ可愛いですよね???色白華奢なアイドル性の塊前田憂佳(ゆうかりん)を筆頭に、お目目ぱっちり系滑舌悪めの美少女和田彩花(あやちょ)、いつだって前のめりなあざとい系福田花音(かにょん)、最年少ながら生意気で歌の伸びが抜群な小川紗季(さきちぃ)

日本一スカートが短いアイドル」なんて絶対男ウケしかしないようなキャッチコピーつけて歌って踊っていました。

事務所のゴリ押しが1番凄かったのもこの時期。今もまた優遇されつつありますが、この時期は地上波バラエティで体を張ったり、もはや放送事故なくらい寒すぎるダジャレを言ったり、とにかく露出が多かった。いろんな意味で。あれがよかったのかと言われると素直に頷けるわけじゃないけど、実際レコ大で最優秀新人賞をもらったりしていたので、当時はみんな頑張っていたんだろうなという印象。無理やり髪を切らされ、時代と国が違えば暴動が起きかねないショートカットって曲はもう笑顔で見れない。

 
スマイレージ 「ショートカット」 (MV) - YouTube

 

福田花音がキャラ確立のために「シンデレラの生まれ変わり」なんて言い出したり、メンバーもメンバーで色んなこと考えながら頑張ってた。

 


そんな中、彼女達の幸せグラフがどん底に落ちる出来事が。

二期メンバー募集

スマイレージは4人だと、メンバー、ファン、皆が思っていた。

そんな中での二期メンバーオーディション開催の発表。初期メンバーなんて言ったと思います?

「やだ!!!!!!!!!」

一刀両断。でも発表してるんだから、決定事項なわけで。このままじゃ入ってくる二期メンバー可哀想すぎじゃないの……。こんなんで入りたい子くるの……。そんなこと思ってました。

でもスマイレージ時代、全面プロデュースしていたつんくさんもこれ苦渋の決断だったんです。その理由は後々わかります。

 

まず、二期メンバーがサブメンバーとして加入します。
竹内朱莉中西香菜田村芽実勝田里奈小数賀芙由香の5人。

これが2011年8月14日の話

 

次にファンに知らされるお知らせ。

小川紗季卒業

しかも卒業発表が8月24日、卒業日が8月27日。前代未聞、わずか3日。

さきちぃはソロでおはスタのレギュラーも持っていたところでの突然の発表でした。円満退社じゃないんだよなあおそらく。

二期メンバー募集をかけていたその時すでにさきちぃの卒業は決まっていたそうです。

 

そして今度は突然の

サブメンバー小数賀芙由香離脱

重度の貧血持ちだったふーちゃんこと小数賀芙由香が、治療に専念するということで離脱。これは仕方ないやつです。

今は元気に大学生をやっているよ。Twitterでミスオブミスとかいうよくわからないけど可愛い大学生を決める大会みたいなやつに参加してる。歌はうまくなったのか知らないけど、賢そうな顔立ちだしアナウンサーになればいいなあと思っている。

そんなふーちゃんが映っている唯一の曲、タチアガール。歌詞がのっけからさきちぃ脱退のことも思い浮かんで切なくなる。なんやかんやで1番好きな曲です。画面左端かななんの立ち位置だけ1回も変わらないのにも注目。


スマイレージ 『タチアガール』 (MV) - YouTube

 

この曲の後、ふーちゃん以外の4人は正規メンバーに昇格しました。

 

そしてハロ界隈に地震が起きます。

前田憂佳卒業

実質一番人気だったゆうかりんが卒業。グループ大打撃。

当時のゆうかりん人気はすごく、もう5年以上前なのに未だにゆうかりんロスの亡霊がうろついています。卒業が2011年いっぱいってことで、半年足らずでこの目まぐるしすぎる変化。えぐい。

 

ここで一旦落ち着いて、6人体制になります。左から田村芽実勝田里奈和田彩花福田花音中西香菜竹内朱莉です。


f:id:kumogakurenbo:20180220171838j:image

初期メンバーの2人に加え二期メンバーとして、ミュージカルで初期メンとも関わりがあった田村芽実(めいめい)ハロプロエッグ*2あがりで℃-ute矢島舞美の従妹竹内朱莉(タケちゃん)、同じくエッグあがりの省エネ娘勝田里奈(りなぷー)、関西出身のド素人中西香菜(かななん)が加入。

ふう!落ち着いたー!やっと応援できる!!と思うでしょう?

ここからメンバーがよく言う暗黒期、不遇時代です。

当たり前ですが、ここまで応援していたほとんどが初期メンバーのファンなわけで。

そのうち2人がよくわからないまま卒業。そのままオタ卒してしまうファンも多々いました。

また、スマイレージは黙ってれば大人っぽい美少女だけど中身は悪ガキ、そんな女の子たちのグループといったイメージが少なからず自分はあって。

新メンバーはどちらかというと顔も年相応、あどけない素朴な感じで。

特に歌もダンスも苦手だったかななんあたりは隙あらば叩かれていました。アイドルになってしまえばそれまでの出身も経歴も関係なく一流を目指さなければいけないのは当たり前だから、言い方悪く言うと1番出来の悪い子がめちゃくちゃに叩かれるのは仕方の無い流れではあるんだけど、愛がそこにある人もない人もいたよね。

 

週末になればライブハウスを回る日々、頑張っているのに客がこない、頑張っているのに人気が出ない、頑張っているのに報われない。あげくの果てには事務所からこんな動画を出される始末。今はめっちゃ笑い話にしてるけど当時はすごい傷ついたと思うからさっさと消してくれ。

 
スマイレージライブツアー2012秋〜ちょいカワ番長〜「スマイレージ篇」 - YouTube

 

初期メンバーは当時は嫌がっていましたが不仲になるなんてことは結局全然なくて、皆騒がしいほど仲良かったのが唯一の救い。

スマ後期では、可愛い曲多めだった昔と比べると段々とセクシー路線になってきます。あやちょが前髪を伸ばしたり、めいめいの歌い方がガラッと変わって、そこから他メンバーもかっこよさを出し始めたのもこのあたり。初めてヤッタルチャンでめいめいソロパート聴いた時びっくりした。

舞台で男役をやり、そこから地声で無理やり可愛い声を出そうとしてたかななんが低い声を習得してじわじわ歌唱メンになったり。

とにかく腐らず、色んなことを試しながら進んできた6人時代。この時がむしろ下積みだったんじゃないかというくらい頑張っていました。

 

三期メンバー加入、改名

左上段から4人が勝田里奈田村芽実竹内朱莉中西香菜

下段5人 福田花音室田瑞希和田彩花佐々木莉佳子、相川茉穂


f:id:kumogakurenbo:20180220173927j:image

3期メンバーとしてダンスが得意な最年少佐々木莉佳子(りかこ)スマイレージ二期メンバーオーデに不合格、そこから研修生入りした室田瑞希(むろたん)スマイレージ大好きな宇宙系お嬢相川茉穂(あいあい) が加入。

また、この3期加入と同時にグループ名を改名します。

12月17日、グループ名を『ANGERME』(アンジュルム)に改名した。なお、このグループ名の命名者は同メンバーの中西香菜で、フランス語のange(アンジュ = 「天使」を意味する)とlarme(ラルム = 「涙」を意味する)を合わせた造語で「天使のような優しい心で、いろいろな涙を一緒に流していこう」という意味が込められている。

……ちょっとよくわからないけどお洒落ですね。

 

曲はスマイレージのthe可愛いアイドル!って感じよりはちょっとゴシック調のものや、ポップなものが多くなります。衣装も露出!!って感じじゃなくなってきて、可愛い。*3

人数が増えたのでダンスメン、歌唱メンに分かれる曲もできました。かななんが歌唱メンバーに選ばれてて個人的にはかなりグッときた。しっかりアイドルできてるよかななん……!

 
アンジュルム『七転び八起き』(ANGERME [Ups and Downs]) (Promotion edit) - YouTube

 

そしてここからはまた怒涛のメンバー入れ替えです。

四期メンバー加入

上國料萌衣(かみこ)

全くの素人。初の単独加入で心配するファンをよそに 持ち前の化け物級コミュ力で友達いっぱい、歌もダンスもメキメキ上達。こぶし*4に「神コミュ力萌衣」って言われてた。

 

初期メンバー福田花音卒業

Berryz工房℃-uteを見てハロプロの世界に入った子。どこまでも女の子で、誰よりもつんくワールドに合ってた子だなと思います。一人称が「まろ」になったり、シンデレラキャラはやめろと言われたり、色んな不条理に揉まれた彼女は今作詞家になってるらしい。


二期メンバー田村芽実卒業

本来ミュージカル女優(か宝塚)道一直線に進むべきだった子が、遠回りをしてアイドルになった。「スマイレージ」のメンバーオーディションをしたのは二期メンバーだけで、「ハロプロ」ではなく「スマイレージ」だけに魅力を感じてくれた子。今はまたミュージカル女優夢見て舞台に歌に頑張っています。

 

 五期メンバー加入 

笠原桃奈 (ももな、かっさー)

唐突にやってきた新メンバー。大人びた顔して最年少中学生です。普段はテンション高い子供か大型犬。かわいい。

 

六期メンバー加入    

ももちが率いていたカントリー・ガールズからちっちゃくて可愛いハスキーボイス船木結(ふなっき)が兼任という形で加入。さらに期待の研修生よりスタイル抜群女将川村文乃(かわむー)も加わる。

 

三期メンバー相川茉穂卒業

かねてからパニック障害ということでお休みしていたあいあいが卒業を決めました。夢半ばで終わってしまったのは辛いけど、残りの3期メンバー2人はこのあいあい休業〜卒業までで、かなり成長したんじゃないかなあ。人のことをよく見れる、頭のいい真っ白い子だったなと思います。

 

そんな感じで今はわいわいがやがやまるで動物園みたいな10人組アイドルです。


f:id:kumogakurenbo:20180220181236j:image

今はリーダーあやちょがハロープロジェクト全体のリーダーを勤めていたり、すっかり立派になった二期メンバーが両脇を固めたりしながら、相も変わらず騒がしくアイドル道を走っています。

 

個人的にはアイドルは生きるドラマだと思っています。単推し(メンバーの1人だけを推す)目当てなら別にその子のいい所をガンガン出せば周りなんてなにも関係なしでいいんだけど、箱推し(グループまるごと好きになる)にさせる1番の要素は個々の良さよりも各メンバーの仲の良さとか絆と、今までのドラマ性に限るとも思っています。

アンジュルムは10人もいるのに皆仲がすごく良い。リーダーあやちょがいい意味で子供っぽい所もあるから、年下の子立ちも恐縮せずにのびのび楽しくやれてるんじゃないかなあと推測。

あとは個人的な意見なんですがパフォーマンスがなあなあになる仲の良さじゃないのが凄く好きです。仲が良すぎるとお互いに甘くなってしまい、だらけてしまうこともあるんです。普段いじりいじられはするけどちゃんとパフォーマンス面での敬意は払えている、そこのメリハリがキチッとつけられているのもまたこのグループの良いところ。

ただの仲良しが見たい訳じゃなく、根本はアイドルを見たいわけだから、やっぱり向上心持って歌にダンスに打ち込むのはまずやって欲しいところなんです。ここができてないグループもいるっていうのが悲しいことでもあるんだけどね。

 

そして確実に本人たちは意図してなかっただろうけど彼女たちのドラマは人を惹き付けて離さないと思います。彼女たちはここまで波乱波乱でしたが、今からまたどう進んでいくかなんて、誰にもわかりません。また一波乱あるかもしれない。

 

アイドルなんてと思ってる皆さんはこんなとこまで読んでないかと思いますが、応援するなら早いうちから、に限りますよ、これは本当。

 

 

最後に現メンバーの紹介をさらっとするので興味があったらはまればいいよ。

 
f:id:kumogakurenbo:20180222014712j:image

和田彩花
唯一の初期メンバー。4人時代に「誕生日が1番はやい」とかいうあるあるでリーダーになった子。生きる歴史。先程のめいめいとは違って、「ハロプロ」全体が大好きで、今やハロプロリーダーに。前髪かきあげてクールそうな顔してるけどめっちゃ頑固でめっちゃ熱くてめっちゃ変。美術と仏像が好きで極めるために大学院まで行ってる。ちなみに自分の初現場はあやちょがゲスト出演する展覧会でした。イレギュラーすぎ。「仕事で成人式出られないの悲しすぎたから後輩メンバーは絶対に出席させたい!!!」って言って本当に二期メンバーに成人式出席させるの強い。

 

 
f:id:kumogakurenbo:20180222015811j:image

中西香菜
サブリーダー。映画とゴリラ大好き関西娘。面白いこと大好き。当時は歌もダンスもダメだったけど今や低音に彼女がいないと物足りない。歌、ダンス、化粧もいっぱい努力した覚醒メン。料理も好きでメンバーにお菓子作ってあげてる。確実に将来めっちゃいい嫁になる。今はソロで映画のお仕事を貰ってる。


f:id:kumogakurenbo:20180222015005j:image

竹内朱莉

サブリーダー2人目。後輩からもガンガンいじられるし本人も今は好きにいじらせている。ボーイッシュキャラに見え隠れする普通の女の子感。倹約家だけどメンバーの誕生日には高い化粧品買ってあげたり、他メンと特技が被らないようにピアノが上手いのを隠したりしてた。大学生になって一気に女の子らしく自由になってくれて嬉しい。書道が得意で色んなところで書いてる。野球のお仕事をソロで貰ってる。

 
f:id:kumogakurenbo:20180222015640j:image

勝田里奈

男子にはわからないお洒落をしてる。wear見ると「それりなぷーだから着れてるんじゃ…」みたいなコーデがいっぱい。でもいいんです楽しそうだから。ライブ衣装にも関わったりしてるよ。省エネダンスとか言われてたけど今はがっしがしに踊るところも見れます。
空気は読むけどダメ出しはする。コールのリズム全然合ってな〜いとか普通に言う。ふわふわしてるけど割と男前発言も多め。賢い子なのでテレビとかだともっと喋る機会与えて〜と思っちゃう。

 


f:id:kumogakurenbo:20180222014901j:image

室田瑞希

変なダンスとモノマネ担当。音楽が鳴ると踊り出すムードメーカー。ハロプロメンバーの細かすぎるモノマネは鉄板。肌が黒いのをひたすら気にしてるけど、髪も染めてパッと見は海にいそうなギャル。でも中身はとっても生真面目なワニ好き女子。スマ二期オーデに落ちて見返したい一心で頑張ってたら三期で選ばれるとかいう物語がまず良い。大器晩成のギラギラ感が好き。


f:id:kumogakurenbo:20180222014758j:image

佐々木莉佳子

地元でロコドルをやってた時代からテレビに出たりしてた、ダイナミックなダンスが得意な美人さん。スタイルお化けが多いアンジュルムの中で唯一モデルもやっている。趣味は無心で石鹸削り、好きなのは豚さん。ブログは開設時からずっと宇宙語、記事1つに1時間かけているというクレイジーさを見せてくれてましたが最近はようやく内容が理解できるようになってきた。*5

 


f:id:kumogakurenbo:20180222015207j:image

上國料萌衣

いつまでもフレッシュさを失わないのにいつのまにか中堅。娘。オーデに落ちて闇を見た彼女は強い。負けん気強そうな綺麗な顔でしょ。その通りです。ファンも置いていくくらいに短期間でスキルアップしまくったメンバーはかみこくらいしか知らない。ハロプロっぽくない透き通った歌声も持ち味で、意外と背が小さいのもまた可愛い。

 


f:id:kumogakurenbo:20180222015111j:image

笠原桃奈

最年少メンバー。まだ中学生。大学院生から中学生まで取り揃えてるアンジュルムつよい…
とにかくお姉さん達に愛されながら自由にやってます。メイクとか洋服とかをまるまる真似っこするのが子供っぽくてかわいい。可愛くない?可愛いよね??

 


f:id:kumogakurenbo:20180222015221j:image

船木結

カントリー・ガールズと兼任という形で入ってきた新人(?)。かみこと同期くらい。ちみっこい身長と歯、あとは可愛い顔してハスキーボイスがチャームポイント。ももちに鍛えられたので話のオチの付け方とぶりっ子(ただし声はカッスカス)と無茶振りはお手の物。おはスタレギュラー出演中。

 


f:id:kumogakurenbo:20180222015245j:image

川村文乃

Juice=Juiceの宮本佳林に似てる、なんて研修生時代は言われてましたが段々と佳林ちゃんとはまた違った良さが出てきていい感じ。高知出身、ブログは方言。スタイル抜群で大人っぽい顔してるけど、ふなっきと真逆でユニゾンでもわかるくらい可愛い声質。スマ曲絶対似合うから早くライブに行きたい。

 

最後に新曲のプロモ映像(途中まで)を置き逃げしてお別れです。 フォントがダサいのは気にしないでくれ。


アンジュルム『マナーモード』(スマートフォン用プロモーション映像) - YouTube

 

 

頑張った!!!!!お疲れ様!!!!

 

*1:ちなみに竹内朱莉

*2:今で言うハロプロ研修生

*3:糸島はしらん。

*4:こぶしファクトリー

*5:こちらが順応してきたのかもしれない。

#2 廻って吐いてもまた廻る

「お姉ちゃん、すごい可愛い!」
「ねえねえ、この曲踊れるようになったの」
「アイドル、楽しそうだなあ!」


自分はスタートに関しては恵まれた環境だったと思う。夢を叶えるにはどうすればいいか?それを教えて導いてくれる身内がいたから。綺麗な自慢のお姉ちゃんのこと。
「貴女もなればいいじゃない」
「なれるかなあ」
「大丈夫、保証する」
そんな言葉に押されて、お姉ちゃんの所属している事務所の今で言う研修生みたいなものになった。そりゃあ私だって自分のことをまあ人前に出れる顔だとは思っていた。運動神経もいい方だったからダンスレッスンを受けて、厳しい先生に褒めてもらったこともあった。


デビューが決まったのはそれから数年後。ようやく世界が私に追いついたな、なんて鏡の前で可愛い笑顔を作る練習をしたものだ。あの頃は絶対に真ん中でいっぱい歌割りをもらってやる!なんてギラギラしていた。衣装にフリルがいっぱいついて、研修生のときよりもっと可愛くなった。マネージャーさんに髪を切りなさいと言われたから言われるがまま肩まであった髪をばっさりと切った。ミニスカートはあんまり似合わなくなったかななんて思ったけど、そんなことは関係ない。私はお姉ちゃんみたいに可愛い曲を歌って踊って、いっぱいのサイリウムを見るんだ。それが出来ればいい。

皆の歓声が私だけに向けられている、スポットライトをいっぱいに浴びているのは私。それだけで最初は嬉しかった。

 


なのに、人は貪欲だ。

 

「みなさーん!」

何回も何回も繰り返しているのに、その後の言葉が詰まった。嬉しいからじゃない。こんな大声出さなくても、後ろまで聞こえるじゃん。そんな皮肉が脳裏を掠めた。

恵まれていたのはスタートだけだった。そこから切り開く自分の道は、先も見えないくらいに茨でいっぱいだった。

半年かけて日本各地のライブハウスを回った。平日昼間は学校、夜はレッスン。土日は朝早くに起きて色んなところに行って、色んな人に会って、色んな人と握手した。
楽屋でひと騒ぎした跡、メンバーみんなで死んだように寝た。毎日力を振り絞らないと笑顔なんてできなかったけれど、最後の方は口角が上がったまま表情筋が硬直していた。
でもどう頑張ってもファンは全然増えなくて、チケットは余って怒られるんだけどどうしたらいいのかわからなくて。
いつの間にか、お姉ちゃんのライブの動画は見なくなっていた。見る時間がないとか言い訳していたけど、お姉ちゃんの色でいっぱいの会場をもう冷静には観れなかった。

「チケット、また残ったんでしょ」
「どうしよう、このままじゃライブできなくなっちゃう」

いつもの土曜日、今日は地方でのライブだ。相も変わらずチケットは完売しないまま。メンバーが口々に弱音を吐く。

「頑張ろうよ」
「うん」
「……頑張ろうって、どう頑張ればいいの」
「……そりゃあ、ダンスも歌も」
「やったって、埋まってないじゃん」
「まだまだ足りないんだよ」
「まだ…まだ」

メンバーの1人が静かにポロポロ泣くから、私たちも我慢出来なくなって。
子供みたいに、って言っても子供だけど、みんなでわんわん泣いた日もあった。

 

 

 

夜中、急に不安になることもある。眠らないといけないのに、染み付いた振りを何度も繰り返さないと安心できないこともある。
ネットの検索履歴には自分の名前がいつも入っている。

応援してくれてるファンのことを思うと涙が出てきてしまうこともあった。 ありがたいのもあるけど、何もできていない自分が情けなくて。
先輩たちはすごく可愛いし、同期は歌うまいし、面白いし、なんでもこなすオールラウンダーだし。そもそもうちじゃなくても、かっこよくて素敵なグループはいっぱいいるのに。
みんなは胸を張って私の名前を口に出せてないんじゃないかなんて考えてしまう。

 

最初の頃に持ってた自信とか長所は勝手にぜーんぶなくなっちゃった。笑っちゃうね。

 

 

 

影の苦労も絶対に必ずすぐに報われると思っていた。
いじられ役はありがたいと思いなさい、なんて言われたから我慢もした。
アイドルになったら自分のことを嫌う人がたくさん増えるなんてそんなこと知らなかった。お姉ちゃんはそんなこと言わなかったから。

 

試しにお姉ちゃんの名前で検索してみても、誹謗中傷はいっぱい出てきた。
1度お姉ちゃんに自分の嫌味を見たことがあるか聞いてみたら、「勿論」と返された。


「気にしないの?」
「そりゃあ夜に見てうわあってなることもあるけど、私はアイドルだから。ファンの人に笑顔になってもらうのが仕事でしょう。嫌なことを引きずってちゃファンはすぐ気づいちゃう、ありがたいことに自分以上によく見てくれてるからね」
「やっぱりすごいな、お姉ちゃんは」
「そんなことないよ。貴女もできる。どんな状況でも、今を楽しむのが1番いいよ」

 

 

 

アイドルの前に人間、なのかもしれない。でもアイドルがそんなこと表で言っちゃアイドルとしてお終いだよね。
せめて弱音を言うなら、みんなが笑えるようになってから、笑い話として言わなくちゃ。だからもう少し、もう少し。私達がいてよかったと、いつか私のことを嫌いな人達にも言ってもらえるように。
それまでは、腐っても嫌になっても走り続けなきゃ。走り続けるには笑わなきゃ。心から。歌が楽しい、踊りが好き、キラキラ光っていたい。これだけはずっと変わらない。

もちろんこの気持ちがなくなればアイドルは辞めるつもりだ。でもどんなに傷だらけになってもそんなことはないんだろうな。

 

だから太陽みたいに笑っているよ、まだまだ先の旅立ちの春まで。

 

 


※このお話はフィクションです

WOMCADOLEというバンド

チョコレートはパイの実派、甘党党員あきらです。

突然ですが、音楽を聞くのが好きでチケット1枚2500円くらいのライブによく行きます。目当てのバンドを追っかける感じですが、たいていよく知らないバンドと一緒に出演するので毎回新しい音楽と出会えます。

 

色んなバンドを見てきましたが、若手バンドマンあるあるとして

  1. 音がでかい=カッコイイ、強いと思いがち
  2. すぐ物騒なこという
  3. 対バン*1は戦争

 

以上のことが挙げられます。(個人の感想です)

ちなみにゆるふわ童顔男子でもすぐ殺すとか言いますし、女の子バンドも9割がた誰か一人は口悪い。

 

そして例に漏れずこれらを全部網羅してるのが今日紹介するこのバンド。

 

WOMCADOLE


f:id:kumogakurenbo:20180214223538j:image

ウォンカドーレ、と読みます。

滋賀の男子4人組バンドです。climbgrowってのもいるんですが、個人的に今滋賀バンドがめちゃアツい。なにがやばいって、持ってる熱量が凄い。エネルギー有り余りすぎている。

 

まずはちょっと聴いてください。こないだ上がった新アルバムのリード曲です。

 
【MV】月/WOMCADOLE - YouTube

ちょっと髪を切ってすっきりしている。でも顔は見えん。

ASIAN KUNG-FU GENERATION初期っぽい歌い方を思い出すのは自分だけではないはず。

ほっそい図体してめっちゃ声出る。転調好きなら他のも聴くといい。

 

閃光ライオット、というものをご存知でしょうか。SCHOOL OF LOCK!!というラジオが企画した、いわば高校生バンドの頂上決定戦です。今は未確認フェスティバルって名前でやっています。ねごとやぼくりりくんなんかはここで有名になったり。

WOMCADOLEは2013年、この閃光ライオット決勝に出場しました。

何も賞は貰えず終わりました。

さらにベースが脱退、活動休止の期間もありました。順風満帆に進んできたバンドではないのです。

 

再始動したのは新メンバーが入った2016年からになります。自分がライブを観に行きはじめたのはここからなので、そこからの話をもう少々。

ドラムの安田くん、最近は確認してませんが去年はドラムの皮のとこに「」って書いていました。「殺す気でやる」とのこと。やばい。今はグローブしてますが初めて見た時は素手で叩いて血みどろになっていた。昔はメンバーが近寄ると「殺すぞ」って言ってた。やばい。

ちなみにボーカル樋口くんのエフェクターの目印も物騒な言葉でいっぱいです。他の2人も静かに燃えてる。

 

「音楽」に対しては、色んな考え方があると思います。色んな考え方を持つから色んな音楽が生まれる。そして彼らは音楽を「戦うための武器」だと考えているのだと思います。違うかったらごめんな。

ただその武器は聴衆の心を抉りとるだけじゃなくて、人を守るためにも使われる。そんな曲もきちんとあります。

ただ、演奏中の彼らはまるで闘犬のごとく音に飢えています。1秒たりとも本気じゃない瞬間がないのです。

自分が勝気なせいかはわかりませんが、そんな彼らを見てると本当に勝手にやる気が湧くので、よく聴きにいきます。

 

 あとステージ上では怖いけどステージ降りるとめっちゃ気さくでいい人たち。サインとかすぐくれる。殺すぞとか全然言わない。敬語もちゃんと使える。物販*2はたいていドラムの安田くんが立って店番してます。今は髪型も相まって愛嬌のある野球部の後輩みたい。たまにベースの黒野くんも立ってる。

インディーズバンドの現場を知らないとびっくりされることがよくあるんですが、開演前や終演後は普通にメンバーと喋れます。自分は喋りませんけど。昔からステージの上の人だと思ってしまうと一気に話せなくなるのやめたい。

 

曲の話をすると、今回のこの「月」は夏目漱石の名言からイメージされたもの。

アルバムの曲目を見ましたが、「21g」は魂の重さではないかなあと睨んでます。

作詞作曲を担うボーカルの樋口くんは「アオキハルヘ」「ワンダー」など自分のことのほかに、ストーリー仕立てのものもよく書きます。「バク」なんかが例。

物語を歌詞にする、それをする人としてまず浮かぶのはBUMP OF CHICKENでしょうか。藤原さんも「ガラスのブルース」から始まり、「かさぶたぶたぶ」「ダンデライオン」など様々な物語を歌っています。

 

樋口くんは、決して「独創的な物語」は作っていないと思います。同じようなネタを扱ったものも探せばあると思う。ただ、それを唯一つのものとして昇華するのが抜群にうまい。たとえば今回の「月」も、この題材だと確実にバラードにする人の方が多いはず。それを敢えてこの形にする、その方面での独創性と手腕はピカイチだと思っています。

メンバー3人が1995年生まれ、大学生なら春から社会人の年です。 実際大学に通っていたメンバーもいます。人生の岐路を経た彼らの音楽の進化が楽しみです。

 

*1:何組かのバンドが代わる代わる演奏するタイプのライブのこと

*2:グッズ販売スペースがあって、CDやグッズ、チケットも買える。

#1 滝を昇る狂犬達を知ってるかい

その夜は滝のような雨だった。
傘を忘れた俺は途方に暮れていた。ここから駅や地下街やコンビニまでは遠いのだ。10時には雨が上がるといっていたが、時計を見ればまだ8時。喫茶店に行ってもいいけれど、作業はもうさっき終わらせてしまったから2時間も待ちぼうけはさすがに時間が勿体無い。

 

そういえばこのあたり、ライブハウスがあったな。あそこくらいまでなら、まあ走ればずぶぬれにはならない。ライブは大体10時すぎに終わるから、丁度いい。ライブハウスは地下にあり、入口の階段前には今日の公演のポスターが貼られている。

 

行って見ると、楷書で 

「瀧昇」

なんとも渋い題名だが、すごいな今日にピッタリじゃん。
なんて思ってしまえば今夜の予定は決まり。当日券を買った。

 

 


分厚い扉を開けてみると、予想していたよりもフロアは混んでいた。人のあいだをすり抜けてバーカウンターで氷結を貰い、ステージを眺める。ちょうどバンドとバンドの出番の間、所謂転換の最中だった。
グローブをはめた金髪の青年がてきぱきとドラムをセットして、叩き心地を確かめていた。スティックの持ち手は赤みがかっている。練習の合間に血でも出たのだろうか。


「もっとお願いします」
「もっと、もっとお願いします!」
そんな声もかなり聞こえた。どうやらギターとベースが楽器の音量をもっと上げてほしいと頼んでいるみたいだ。とはいえ何回も色んな声で聞こえたので、どの楽器担当も同じことを言っているのだろう。
ボーカルもギターを少し弾いてはその言葉を繰り返していた。くるくるに巻いた前髪は顔の下まで伸びていて、なんだかやせ細ったプードルみたいだ。「ギター、もっとお願いします!!」おいおい、このままだと楽器の音でボーカルの声かき消されるんじゃねえの。大丈夫か。


そんな心配も知らぬ顔、というか前髪で顔なんて見えないのだが。
アルペジオを弾いて、ア、ア。咳払い。
「最高です、ありがとうございます」
黒い狂犬がにやりと笑った。

この後彼らが龍となり、この瀧を昇る様をまじまじと見せつけられる話はまた別の機会に。

 


※このお話はフィクションです

ご挨拶

 

ついに開設してしまいました

はじめましての方ははじめまして、いつもこっそり見てくださっているそこの貴方はこちらからもガン見しておりますよ。あきらと申します。

 

今まで趣味用のアカウントをTwitterで作ってみたはいいものの、好きなものがいかんせん多いのでどこに行っても関係ない話をしては翌日明朝自責の念に駆られておりました。夜には忘れてまた話すのですが。

 

じゃあもう全部まとめてしまえばよいのだよと頭の中の誰かさんの囁きに導かれ、とうとうブログでびゅうです。ちなみにブログっぽいのは中学時代にもやってました。

黒歴史です。触れないでください。

触れないでください。

 

ここでは溶けきった語彙力で、好きなもの人ことについてだらだらと長いこと喋ります。

でもただ喋ってもオリジナリティもないので、ちょっと小話でも入れたいと思います。#ついてるのはSSです。その後に死ぬほど喋ってる記事書きます。SS読んで、興味が湧いたらそっちも覗いてくれると嬉しいです。

ほぼ趣味丸出しの自己満ブログになるので、多分恐らく物好きな方しか見ないと思います。

が、物好きな皆さんには伝わるように書きます。頑張ります。たまに目を通していただけるとおいおい泣きます。

 

それではこのくらいで。